大学生における音量の同定能力および弁別能力の検討

モンテッソーリ・メソッドの感覚教具「雑音筒」を用いた調査から

著者

  • 安藤 恭子 名古屋女子大学短期大学部
  • 服部 安里 小田原短期大学

キーワード :

音量知覚, 同定能力, 弁別能力, 雑音筒, ピアノ学習経験

要旨

 本研究は、モンテッソーリ・メソッドで用いられる感覚教具「雑音筒」を用い、大学生における音量の同定能力および弁別能力を調査するとともに、ピアノ学習経験と音量知覚の関連性について検討することを目的とした。対象は大学生60名であり、6種類の音量を呈する「雑音筒」を用いて同一音量を対応させるpairing、音量順に並べ替えるgradingを実施した。また、各課題と入学前のピアノ学習経験年数との関連を分析した。
 その結果、pairingでは半数以上の被験者がすべての筒を正しく対応させた。特に最小音量の筒1では正答率が98.3%と高く、他の筒との間に有意差が認められた。極めて小さい音は他の音に比べて特徴的であり、判断の基準として捉えられやすい可能性が示された。gradingでは被験者が配置した位置と正しい位置との差を「エラー」として算出した結果、筒間に有意差が認められた。特に中程度の音量域に位置する筒4で誤りが多く、弁別が相対的に難しい傾向が示された。振り返り記述においても、中間の音量が判断しづらいとの記述がみられた。
 さらに、pairingとgradingの間には有意な相関は認められず、両課題が異なる認知的過程を反映していると考えられる。また、いずれの課題にもピアノ学習経験年数との関連はみられず、音量知覚は必ずしも音楽的な学習経験のみに依存しない可能性が示された。今後は各筒の音圧レベルを精密に測定し、音量知覚に関する教育教材としての特性を明確化する必要がある。

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出版済

2026-10-08

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原著論文