携帯型1チャンネル脳波計による重症患者の客観的睡眠評価:予備調査研究

著者

  • 武富 由美子 佐賀大学医学部看護学科
  • 古賀 明美 佐賀大学医学部看護学科
  • 川久保 愛 佐賀大学医学部看護学科
  • 松尾 照美 佐賀大学医学部附属病院看護部
  • 山田 春奈 佐賀大学医学部看護学科
  • 阪本 雄一郎 佐賀大学医学部救急医学講座

キーワード :

重症患者,ICU,客観的睡眠評価,携帯型1チャンネル脳波計

要旨

【目的】携帯型1チャンネル脳波計を用いた人工呼吸管理中で鎮静状態にある重症患者の睡眠の客観的評価について,予備調査を行う.

【対象と方法】救急ICUで人工呼吸管理下にある20歳以上の患者3名を対象とした.気管チューブ抜管が予測された症例1は72時間,症例2および3は24時間,携帯型1チャンネル脳波計による睡眠変数および覚醒・睡眠段階の周期性,睡眠関連項目について調査した.

【結果】3症例の総睡眠時間は0~21時間で,睡眠経過図では覚醒が頻回に認められた.症例1は,3日間の総睡眠時間は0~3時間/日で全て浅い睡眠であった.さらに深睡眠(N3)とレム睡眠が欠如し,せん妄があった.症例2および3ではレム睡眠が23.1/12.3%,深睡眠(N3)は1.9/1.1%で,睡眠周期は症例2と3ともに8回/日であり,せん妄はなかった.また,N2は58.5/50.0%であった.

【考察】3症例の総睡眠時間は差があり,睡眠は分断されていた.また,症例1では過覚醒と深睡眠(N3)・レム睡眠の欠如がみられ,せん妄を起こす前の重症患者の睡眠の特徴と類似した.症例2および3は,1日を通して浅い睡眠であったが,深睡眠(N3)と睡眠周期があった.さらに,N2の割合は健康成人と同程度であり,夜間に睡眠がシフトする傾向にあった可能性がある.睡眠の客観的評価により,せん妄の早期発見や睡眠を促すケアを検討できるかもしれない.

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出版済

2025-06-09

巻号

セクション

報告論文