看護系大学生における高齢者の性・セクシュアリティに関する講義前後での認識の変化
-KH Coderによるテキストマイニングを用いた分析-
要旨
本研究の目的は,看護系大学生が高齢者の性・セクシュアリティについて,講義前後でどのような認識の変化があったかを明らかにすることである。A大学2年生105名のレポートをテキストマイニングで分析した。結果,講義前では分析に用いた総抽出語数2276,異なる語数414であった。講義後では分析に用いた総抽出語数9608,異なる語数876であった。サブグラフでは,講義前が【加齢に伴って性欲は低下するイメージ】【性の関心の低下と性機能の衰え】【男女の関係性の変化】【自己の先入観や価値観で捉える高齢者像】【若者世代との比較による高齢者の捉え方】の5つであった。講義後が【高齢者にとって重要な性的欲求の理解】【高齢者の性に対する考え方の変化】【高齢者の愛情表現】【高齢者の心理的側面の変化】【高齢者にとって健康な生活のあり方】【動機づけとなった講義の位置づけ】【幅広い概念であるセクシュアリティの理解】【高齢者の性とセクシュアリティに対する学生の意識の拡大】【高齢者のセクシュアリティを意識した看護の視点】の9つであった。講義前には加齢による生殖機能の衰退に関する記述が多かったが、講義後には高齢者の性・セクシュアリティに対する認識の広がりがうかがえ、高齢者の特徴の理解や性・セクシュアリティの視点を踏まえた看護のあり方について考えることができていた。