養護教諭が捉えた保護者支援に関する文献検討

要旨

本研究は, 我が国における養護教諭が行う保護者支援に関する文献検討を行い，養護教諭の行う保護者対応の現状と課題を明らかにし，今後の保護者支援に向けた方策への示唆を得ることを目的とした．医学中央雑誌Web版，CiNiiを用いて文献検索を行い，養護教諭の保護者支援に対する記載のある文献3件を得た．本研究で対象とした文献は，全て質的研究であった．また，発達障害支援に関するものが1件，児童虐待に関するものが1件，保護者支援とその影響要因に関する研究1件であった．養護教諭は保護者支援において概ね相談援助の流れに沿って保護者支援を実施していることが伺えた．しかし，利用者の顕在・潜在ニーズ両方を発掘する行動，支援の事後評価や支援の終結と効果測定については，保護者と健康相談できる機会の必要性や保護者のニーズに基づいた学校内，外部専門機関との連携による支援の必要性に関する課題との共通性が推察された．今後，保護者のニーズに基づいた学校内，外部専門機関との連携による支援に向け，保健・医療・福祉関係者とともに協働しながら保護者支援を行っていくことが求められるといえよう．また，これらの知見を基に，養護教諭が行う保護者支援の実態解明を質的・量的にも明らかにし，エビデンスに基づいた保護者支援の方策を検討していくことが必要である．