生命の起源探求から考察したパーキンソン病と痛風の不思議な関係

  • 古野 正憲 日鉄鉱コンサルタント株式会社
キーワード: パーキンソン病 酸化ストレス 尿酸 窒素化合物 パイ(π)電子

要旨

地球の表層部は、周期表の主に4つの軽元素(水素、炭素、窒素、酸素)で占められ、それぞれが単独分子あるいは化合物として存在している。その中で、窒素は単独の窒素分子(N2)として大気の78%を占めるものの、物質(鉱物、植物及び動物)の主要構成元素にはなっておらず、化学反応の連鎖である「動植物界の代謝(エネルギーの流れ)」で主役を演じている。

本稿では、地球における生命誕生とその進化には窒素化合物が深く関わっており、「窒素→尿素→アミノ酸→尿酸→核酸(DNA)」へと高分子有機化合物が複雑化し多様性を増していったと云う仮説を立てた。そして、各分子の構造式を比較したところ、アミノ酸の殆どが環状構造を持つ芳香族基を作る直前の形状を示しているのに対し、核酸は芳香族基を基本として複雑化していることに気づいた。

一方、生物の体内には老化を促進する活性酸素が発生して寿命を縮めている。この活性酸素を分解する強力な抗酸化物質の一つが窒素や炭素原子の共有結合によって環状の分子構造を有する尿酸であり、近年、この尿酸がパーキンソン病の罹患リスクを低減すると共に、その進行を抑制することが分かってきた。また、パーキンソン病のような心疾患は、極度の酸化ストレスが原因で発症するケースが多く、その治療方法として活性酸素の働きを抑制する薬剤治療と「ワクワクした歓喜的情動」を醸成する情動治療の併用が推奨される。

 

出版済
2022-05-24
セクション
解説・記録・展望