基礎看護学実習での学生の観察視点とその変化

ヘンダーソンの基本的看護の構成要素を用いた分析

  • 田中 瞳 横浜市立大学
  • 山元 由美子 前東京女子医科大学看護学部
キーワード: 観察視点, 看護学生, 基礎看護学実習, 観察記録

要旨

目的:本研究では、看護学生(以下、学生)が初めて患者を受け持つ実習での観察の視点とその変化を明らかにする。

方法:基礎看護学実習Ⅱを履修する学生に、受け持ち対象者(以下、受け持ち患者)の病床を訪問した際に観察したことを「観察記録用紙」に記述してもらった。学生9名が記述した観察記録用紙を分析対象とし、記述された内容を質的に分析した。分析にはヴァージニア・A・ヘンダーソン Virginia Avenel Henderson(以下、ヘンダーソン)の看護理論の項目を活用した。

結果:へンダーソン看護理論の『基本的看護の14項目』は学生にとって患者の動きを捉えやすく観察しやすい項目と、コミュニケーション力が求められる観察しにくい項目があることが明らかになった。学生は実習期間を通してヘンダーソンの『基本的看護の構成要素』の14項目を全般的に記録していた。また、受け持ち患者のニーズの充足・未充足を偏りなく観察していた。学生の観察視野は広範囲であり、実習の進行に伴い、受け持ち患者の状態に応じて拡大あるいは焦点化したり、観察を継続もしくは終了させていた。学生は視覚や受け持ち患者とのコミュニケーションだけでなく、温度覚や嗅覚、触覚を活用して情報を得ていた。

出版済
2020-04-15
セクション
原著論文