カルシニューリン活性に対する市販のスルホン酸型陰イオン界面活性剤の影響
キーワード :
カルシニューリン, 陰イオン界面活性剤, タンパク質脱リン酸化酵素要旨
カルシニューリン(CN)は、カルシウムイオン/カルモジュリン依存性のタンパク質脱リン酸化酵素であり、免疫細胞をはじめとする多くの細胞において、カルシウムシグナルを転写制御に結びつける中心的な役割を果たす。特に免疫系では、リン酸化型nuclear factor of activated T-cells(NFAT)を脱リン酸化し、サイトカイン遺伝子の発現誘導を介して細胞性免疫応答を制御する。また本酵素は、免疫抑制剤であるシクロスポリンAやタクロリムスの標的酵素でもあるため、臨床的にも注目されている。我々はこれまでに、陰イオン界面活性剤の一種である直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸標準品(C12-LAS)が、ウシ脳由来CN(bCN)、ラット脳由来CN(rCN)、および大腸菌由来リコンビナントヒトCN(rhCN)のホスファターゼ活性を阻害することを報告してきた。本研究では、日常的に使用されている市販の5種類のスルホン酸型陰イオン界面活性剤について、rhCNおよびbCNに及ぼす影響を比較検討した。その結果、いずれの界面活性剤も両CNの活性を阻害することが明らかとなり、50%阻害濃度(IC50)値には化合物ごとに大きな差異が認められた。また、由来の異なるrhCNとbCNの各化合物のIC50値の間には正の相関が確認された。以上より、本研究で使用した市販スルホン酸型陰イオン界面活性剤はCN活性を阻害することが示された。
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