看護学生の臨地実習中における速乾性手指消毒薬に関する実態調査
要旨
A大学看護学生の臨地実習中の速乾性手指消毒薬の携帯に関する認識や手指消毒のタイミング、使用状況に関する実態を明らかにし、使用量を学年別に調査した。
対象は1年生125名、2年生121名、3年生118名、4年生118名の学生とした。
結果として速乾性手指消毒薬の携帯は、手指衛生を強く意識する「きっかけ」になったと答えた学生は平均99.4%であった。「きっかけ」にならないと答えた学生はいなかった。実習中の手指消毒場面の「汚物の後片付け」以外では、ケア「前+後」における手指消毒を53.8~76.9%の学生が実施したと回答した。一方、ケア「中」のみ実施した学生はみられなかったが、「後」のみ実施した学生は5.1~28.2%であった。また、手指消毒薬の対象学生の1日当たりの平均使用量は8.8ml/日であり、最小値は0.2ml/日、最大値は30.4ml/日であった。
速乾性手指消毒薬の携帯は接触感染予防に繋がり手指衛生の役割や価値を自ら問い直すきっかけとなり、有効と考える。また、実習中の手指消毒場面における手指衛生の更なる実施向上に繋がるように各学年において学生同士が互いにロールモデルとして手指衛生の知識や技術の提供者となり得るように教員や指導者は学生に関わることが重要であると考える。