救命領域看護師の倫理的葛藤の影響要因についての文献検討

要旨

【目的】国内外における看護師の倫理的葛藤の文献レビューを行い、救命領域看護師の倫理的葛藤の影響要因を明らかにする。
【方法】データベースは国外文献検索サイト、PubMed、国内文献サイト医学中央雑誌Web を用いた。キーワードは、Emergency、Nurse、Ethical Dilemma、Conflict、ICU、Critical、看護師、倫理的葛藤とした。対象文献29 件について、著者、発表年、国籍、研究目的、研究デザイン、主な概要に分類した。
【結果】救急領域看護師の倫理的葛藤の影響要因は、【看護師としての役割の曖昧さ】【医療者および患者家族を巡る調和の欠如】【患者の尊厳を守る責務の負担】【職場環境が及ぼす負担】に分類された。救命領域の倫理的葛藤は、患者や家族の利益や尊厳を守るために行うべき、医療、看護業務が様々な影響要因により、看護実践に結び付かない現状が引き起こすものであった。そして、その現実に対し看護師は道徳的・精神的苦痛を感じていることが明らかになった。
【考察】患者の権利・尊厳を守るためには、倫理的問題解決のための教育、看護師の自律性獲得のための継続教育が必要である。また、救命領域を支える医療者間の人間関係の構築と職場環境の整備の必要性が示唆された。