認知機能の変化を目的とした認知症患者への人工知能を用いたコミュニケーション・ケアとその効果に関する文献検討

  • 片山 彩萌 奈良学園大学 看護学研究科 看護学専攻 修士課程
  • 松浦 純平 周南公立大学 人間健康科学部看護学科
キーワード: 人工知能, 認知症, コミュニケーション・ケア, ロボット

要旨

 本研究では、認知症患者に対する人工知能を用いたコミュニケーション・ケアと認知機能に対する効果を明らかにするために、それらに関する文献を質的帰納的に分析した。対象文献は、医学中央雑誌WEB版にて、原著論文を対象に[認知症+コミュニケーション+人工知能]と検索し、抽出された18編の内、認知症患者に対する人工知能を用いたケアについて示されている12編とした。文献の論旨から逸脱しないようにスーパーバイザーと共に分析した。その結果、人工知能を用いたコミュニケーション・ケアに関する記述は74コード、そのケアが認知症患者の認知機能に与える効果に関する記述は93コードが抽出された。それらのコードを人工知能が搭載されているハードウェアの型ごとにカテゴリー化した。ぬいぐるみ・ペット型ロボットを用いたケアは、【身体的な触れ合い】など、3つ、効果は【ADLの維持・改善】など、7つのカテゴリーが抽出された。二足歩行・人型ロボットを用いたケアは、【生活動作への関わり】など、5つ、効果は【主体的コミュニケーション能力の維持・改善】など、7つのカテゴリーが抽出された。また両方のロボット型を用いたケアは、【非言語的コミュニケーション】など、5つ、効果は【表出感情の多様化】など、4つのカテゴリーが抽出された。これらから、人工知能のケアは、認知症患者の精神面や身体活動能力、認知機能を改善することが示唆された。

出版済
2025-02-07
セクション
原著論文