頸部角度の違いが若年健常者の舌圧及び舌口唇運動機能に与える影響
キーワード:
舌圧, オーラルディアドコキネシス, 頸部角度
要旨
本研究では、若年健常者において、頸部角度の変化により舌圧および舌口唇運動機能がどの程度変化するかを明らかにすることとした。
対象者は健常者20名(平均年齢20.3±0.7歳)で、リクライニング座位45°の状態で、頸部屈曲30度、中間位(屈曲伸展0度)、伸展30度の3条件を設定した。それぞれの姿勢で、舌圧およびオーラルディアドコキネシスを測定した。
その結果、最大舌圧の平均は、全体および男性・女性ともに頸部軽度30度で最も高値を示した。また、男性の舌圧において、頸部屈曲30度と伸展30度との間で有意差がみられた。オーラルディアドコキネシスの平均は、全体および男性・女性ともに頸部中間位で最も高値を示した。なお、各条件間で有意差は認められなかった。また、舌圧とオーラルディアドコキネシス共に性別による有意差も認められなかった。
今回の結果より、若年健常者では一時的な頸部角度の変化によって舌圧および舌口唇運動機能への影響はほとんどみられないことが分かった。ただし、異常姿勢は徐々に構築されていくものであり、慢性的な姿勢の影響も考える必要がある。今後は中高齢者でのデータを蓄積し、異常姿勢との関連について検討を重ねたいと考える。