がん指導薬剤師またはがん専門薬剤師の意識調査に基づいた再生医療等製品の薬学教育で扱うべき情報に関する研究
要旨
本研究は薬学教育で注力すべき再生医療等製品の領域をアンケート調査結果から考察し、提言にまとめた。
アンケート調査の調査対象者はFaculty of Pharmaceutical Sciences Doctoral Course of Tokyo University of Pharmacy and Life Sciencesに所属する学生 (FPS-DC-TUPLS students)とJapanese Society of Pharmaceutical Health Care and Sciences (JSPHCS)の認定資格を保有する日本医療薬学会がん指導薬剤師(BCSOP)または日本医療薬学会がん専門薬剤師(BCOP)とした。また、具体例として、再生医療等製品であるKymriah®の添付文書を用い、添付文書に記載された情報の重要度評価を実施した。重要度評価は5段階で回答する形式とした。両者の情報を評価する視点の違いについてギャップを分析し、薬学教育を充実させるための提言を作成した。 BCSOP and/or BCOPとFPS-DC-TUPLS studentsの重要度評価の中央値を比較したところ、Kymriah®の副作用情報のなかには、BCSOP and/or BCOPがscore 5と回答した割合がFPS-DC-TUPLS studentsより有意に高いものがあった。さらに、副作用情報のなかには、病院薬剤師歴11年以上~20年以下の中堅BCSOP and/or BCOPがscore 5と回答した割合がFPS-DC-TUPLS studentsより有意に高くなるものがあった。
FPS-DC-TUPLS studentsは副作用情報の重要性を過小評価していることが示唆された。臨床研修の機会などを活用し、副作用に関する情報を薬学生に十分に説明することが再生医療等製品の薬学教育として推奨される。