女子大学生の潜在的致死的飲酒に対する アルコール健康教育の予防効果

キーワード: アルコール健康教育, アルコール性ブラックアウト, 女子大学生, 有害な飲酒, 予防因子

要旨

 小・中・高校で受けたアルコール健康教育の効果が大学入学後も持続しているか否かについては、ほとんど明らかにされていない。女子大学生の飲酒行動を調査し、そうした教育が大学入学後の身体的危険飲酒の予防に有効であるかを検討した。女子大3・4年生を対象に自記式質問紙調査を実施した。飲酒の失敗経験のうち「記憶を失う、店や車、道で寝込む、救急車で病院に運ばれる」を、潜在的致死的飲酒と定義した。飲酒経験のある506人を分析対象とし、そのうち112 人が潜在的致死的飲酒を経験した。「潜在的致死的飲酒経験の有無」に関連する要因を明らかにするため、ロジスティック回帰分析を行った。潜在的致死的飲酒に対する独立した予防因子は、「小学生でアルコール健康教育を受講」(調整オッズ比[AOR], 0.47)、「飲酒で顔が赤くなる人」(AOR, 0.38)、「文化系サークル活動の経験」(AOR,0.35)であった。「インカレのサークル活動の経験」は、潜在的致死的飲酒の主要な危険因子 (AOR, 3.52) であり、「新入生歓迎会での強制飲酒」との間に非常に強い相関が認められた (phi = 0.54)。 女子大学の学生においては、小学校5、6年生におけるアルコール健康教育によって、インカレのサークルが主催する新入生歓迎会での潜在的致死的飲酒の機会から遠ざかることで、潜在的致死的飲酒が抑制されていると考えられる。

出版済
2024-02-16
セクション
原著論文