寒冷地の避難所における外気温による皮膚温への影響

  • 石川 幸司 北海道科学大学
  • 梅林 秀行 北海道科学大学 保健医療学部看護学科
  • 林 裕子 北海道科学大学 保健医療学部看護学科
  • 久賀 久美子 北海道科学大学 保健医療学部看護学科
  • 魚住 昌広 北海道科学大学 工学部建築学科
  • 飯島 美樹 北海道科学大学 保健医療学部看護学科
  • 矢神 雅規 北海道科学大学 工学部電気電子工学科
  • 細川 和彦 北海道科学大学 工学部都市環境学科
キーワード: 避難所, 寒冷地, 健康観察, 皮膚温

要旨

本邦は自然災害が多い国として知られており、災害対策が重要である。一般的に、災害時には地方自治体が避難所を運営するが、実際には地域における指定避難所の事前の備えは十分ではない。さらに、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い避難所における感染対策として、体温測定など入所する前の健康状態の観察などが必要となった。そこで、本研究では寒冷地における避難所開設訓練において、外気温が避難所入所時の皮膚温に与える影響を把握することを目的とした。研究対象者は避難訓練に参加した21名であり、屋外に10分待機した後と訓練参加前の前額部皮膚温および腋窩温の測定値を後方視的に収集し、比較検討した。前額部皮膚温はベースラインでは36.9(36.7-37.4)℃であり、避難所入所時では35.4(33.4-36.1)℃であり、有意な差が認められた(p<.001)。腋窩温はベースライン36.6(36.5-36.8)℃であり、避難所入所時では36.8(36.5-37.0)℃であり、有意な差は認められなかった。この結果から、冬季に災害が発生した場合、避難所では体温を測定する部位や健康観察方法など、入所時の感染対策について、建物の構造などを考慮した方法を事前に検討しておくことが重要である。

出版済
2023-08-22
セクション
報告論文