妊産婦の主体的な出産につなげるための助産師の関わり
要旨
本研究は主体的に出産に取り組む妊産婦が多いと考えられる助産所において、妊産婦の主体的な出産につなげるための助産師の関わりを明らかにすることを目的とした。半構造化面接法による質的記述的研究を用いて、2022年8月に神奈川県内の助産所に勤務している助産師2名を対象にデータ収集を実施した。分析方法は録音した面接内容を逐語録に起こした後、研究目的に関するものを抽出し、コード化、サブカテゴリー化、カテゴリー化を行った。倫理的配慮に関しては、所属機関の学科において承認を得た上で本研究を実施した。
その結果5カテゴリーとそれを構成する14サブカテゴリーが抽出された。抽出されたカテゴリーは【助産師自身の六感を大切にする】、【できることの言語化を促す】、【命に関わること以外は選択を尊重する】、【身体と向き合えるような関わり】、【自分の意思で行動変容することを意識した関わり】である。 妊産婦の主体的な出産につなげるためには、妊産婦の安心・安全な出産を確保した上で、言語的・非言語的なコミュニケーションを通し妊産婦が自身の出産について、言語化することを引き出す関わりが重要である。また言語化したことを尊重する関わりとして、妊産婦の選択を尊重し、自分の身体と向き合う上で必要な知識を提供することで、自身で行動変容を促せるような関わりが重要であり、このような助産師の関わりが、妊産婦が主体的に出産に臨むことにつながると推察された。