助産所における妊婦のセルフケアにつながる冷えの認識
要旨
冷えの自覚がある妊婦のセルフケアにつながる冷えの認識を明らかにし、セルフケアが実施できるような支援を考察することを目的に、半構造化面接法による質的記述的研究を用いて、2022年8-9月に神奈川県内の助産所に通う妊婦2名を対象に30分程度の半構造化面接を実施した。主な面接内容は、冷えの自覚や認識、セルフケアの実施状況等である。分析方法は録音した面接内容を逐語録に起こした後、研究目的に関するものを抽出し、コード化、サブカテゴリー化、カテゴリー化を行った。倫理的配慮に関しては、所属機関の学科において承認を得た上で本研究を実施した。 その結果、4カテゴリー、9サブカテゴリーが抽出された。抽出されたカテゴリーは【冷えているという負の感情がある】【主体的な出産を望む】【健康のために血の巡りを意識する】【セルフケアが望むところまで到達できない現状を知る】である。 セルフケアにつながる冷えの認識として、冷えの自覚を持つことで身体の冷えを実感することが必要である。また、妊婦は出産、冷え、血流の関係を認識しており、血の巡りを意識することがセルフケアにつながる。一方で、妊婦はセルフケアを実施したほうが良いということを認識しているとしても、様々な阻害要因からセルフケアにつながりきらないことがある。だからこそ、冷えのケアが望むところまで到達できない現状を知り、冷えの認識やどんなセルフケアができるかを見つけてできるところから始めていくことが大切であると推察される。