嚥下障害を持つ患者に対する 看護師による安全な食事介助の概念分析

  • 工藤 理恵 筑波大学
  • 日高 紀久江
キーワード: 概念分析, 嚥下障害, 食事介助, 看護師, 安全

要旨

本研究は嚥下障害を持つ患者に対する看護師による安全な食事介助の概念を明らかにすることを目的とした。データ収集は、3つの文献検索データベースを用いて行った。分析対象の選定基準として、査読付きのジャーナルへの掲載論文であること、嚥下障害を持つ患者に対する看護師による安全な食事介助に関する説明が含まれていることとし、対象期間を文献検索データベースの出版年から2022年までとした。さらに嚥下障害を持つ患者に対する看護師による安全な食事介助に関する記述がある書籍を追加した。Rodgers (2000) の方法により、15文献が分析対象に選定され、4つの先行要件、6つの属性、6つの帰結が抽出された。属性には、アセスメント、食事リスクの総合的な判断、食事介助方法の検討、食事環境の調整、食事に対する患者の心と身体の準備、誤嚥や窒息のリスクを回避する患者支援が抽出された。先行要件には看護師の状況や多職種連携等が含まれ、帰結には誤嚥性肺炎の予防、生命を維持するための栄養状態の維持・改善、心身の機能維持等の構成要素が確認された。本結果は、嚥下障害を持つ患者に対する安全な食事介助の看護支援の標準化の一助となり、安全な食事介助の看護実践の促進につながると考えられた。

出版済
2023-08-22
セクション
報告論文