看護学部生が精神看護学実習で実践した認知行動療法の教育評価

  • Yoshihiro Saito
  • Yuko Shiraishi
キーワード: 看護学部生, 精神看護学実習, 認知行動療法

要旨

本研究の目的は、実習引率教員の指導のもと、看護学部生が認知行動療法(CBT)を用いた精神看護学実習で体験した教育的価値を学生の実習後レポートを用いて明らかにし、精神看護学のカリキュラム内容の検討に繋げることとした。看護学部4 年生45 名の自由記述データを分析した結果、「患者」と「介入」と「看護」、「患者」と「協働」と「作成」、「介入」と「活動」、それぞれの間で関連が示された。分析はKHcoder を用いて単純集計を行い、記述データの抽出語を把握した上で強制抽出語を設定し、共起ネットワークを構築した。看護学部生は、精神看護学実習でCBT を体験することで、「看護師と患者の関係性」の理解に繋がっただけでなく、「患者と協働」する重要性を認識し、「患者の快活動を増加させる」などの介入効果を学習として捉えることができたと言える。看護実践能力の向上が求められる看護教育において、実習引率教員の指導のもとではあるが、精神看護学実習でCBT を用いて実践し、介入効果を学習できたことは、看護学部生にとって有用な体験であったといえる。看護学部生が臨地実習でCBT をより効果的に体験するためには、講義や演習の中でCBT の学習時間を確保したカリキュラムを検討し、実習への体系化された学習環境を構築していく必要性が示唆された。
出版済
2023-05-16
セクション
原著論文