食事中の足底接地が摂食嚥下機能に与える影響に関する文献検討

  • 工藤 理恵 筑波大学
  • 日高 紀久江 筑波大学
キーワード: 摂食嚥下機能, 足底接地, 姿勢

要旨

 誤嚥性肺炎の予防には、食事中の適切な姿勢保持が重要である。摂食嚥下運動は、筋収縮を伴う全身の協調運動であり、頭部・頸・体幹・下肢の位置により影響を受けるが、摂食嚥下機能に対する足底接地の影響は十分に検討されていない。本研究は、食事中の足底接地が摂食嚥下機能に与える影響についての研究を概観し、知見を得ることを目的とした。検索は、Pubmed、医中誌Webの2つのデータベースを用いた。論文の選定基準としてタイトルと要約に、日本語では「足底接地」「嚥下」「舌圧」「咀嚼」「咬合」、英語では「sole-ground contact」「ground on foot bottom」「foot bottom ground」「foot flat」「swallowing」「tongue pressure」「mastication」「occlusion」の用語を含む、英語または日本語の査読付きのジャーナルへの掲載論文である、食事中の足底接地が摂食嚥下機能に与える影響に関する説明を含むこととし、検索期間を1980年から2022年8月とした。その結果、論文数は26件であり、そのうちすべての選定基準を満たした論文は4件であった。本結果より、食事中の足底接地の有無が、嚥下機能、咀嚼機能、咬合力に影響を与えることが示された。抽出した論文は、すべて実験研究であり、看護研究は見当たらなかった。以上より、高齢者の誤嚥予防には、食事中の足底接地を意識した姿勢調整が重要であることが示された。今後、誤嚥予防のための看護支援について検討するうえでは、高齢者への食事中の座位姿勢に対する看護師による支援の実態を調査することの必要性が示唆された。

出版済
2023-01-27
セクション
原著論文