清拭直後における皮膚表面に残る水分の拭き取りの有無が寒さに及ぼす影響

著者

  • 明野 伸次 北海道医療大学看護福祉学部看護学科
  • 横川 亜希子 北海道医療大学看護福祉学部看護学科
  • 米川 弘樹 北海道医療大学看護福祉学部看護学科
  • 新見 千穂 北海道医療大学看護福祉学部看護学科
  • 白川 そよか 元北海道医療大学看護福祉学部看護学科
  • 山口 夕貴 北海道医療大学看護福祉学部看護学科

キーワード :

清拭, 寒さ, 皮膚温, 看護

要旨

 本研究は,清拭直後における皮膚表面に残る水分の拭き取りの有無が寒さに及ぼす影響を,生理的・主観的評価から明らかにすることを目的とした.健康な成人10名を対象に,クロスオーバーデザインを用いて,拭き取りあり法(清拭直後に乾いたタオルで水分を拭き取る)と拭き取りなし法(拭き取らない)を実施した.生理的評価は皮膚表面温度と自律神経活動を測定し,主観的評価はVASと寒さの有無を調査した.以上のデータを両方法間で比較した.その結果,皮膚表面温度の経過において,拭き取りあり法では清拭直後から10秒後まで緩やかに温度が低下し,10秒後以降に差は認められなかった.一方,拭き取りなし法では清拭直後から10秒後まで急速に温度が低下し,15秒後以降は緩やかに温度が低下した.皮膚表面温度の比較では,清拭直後は拭き取りなし法の方が高い温度を示したが,それ以降は両者に有意な差は認められなかった.また,自律神経活動に関して,拭き取りなし法では清拭後に交感神経活動が上昇し,拭き取りあり法と比較し交感神経活動は高かった.VASの結果には有意な差は認められなかったが,寒さを感じた割合は拭き取りなし法の方が高かった.以上の結果から,清拭直後に皮膚表面に残る水分を拭き取ることは,清拭直後における皮膚温の急激な変化を緩やかにする役割を果たしていると考えられ,寒さを感じさせないために効果的であることが示唆された.

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出版済

2025-09-17

巻号

セクション

原著論文