犬に寄生するマダニの背面へ直接塗布したフィプロニルのスポットオン式滴下投与用液剤の殺ダニ効果
犬に寄生するマダニの駆除に際しての補助的方法としての有用性
キーワード:
犬, フィプロニル, マダニ
要旨
マダニは人獣共通感染症の病原体を媒介することが多く、犬に寄生するマダニの駆除は迅速に行う必要がある。しかし、犬のマダニ駆除薬として用いられているスポットオン式滴下投与用液剤の有効成分は、犬の体表に均等に分布するとは限らず、様々な部位における分布濃度に濃淡が生じると考えられる。本研究は、マダニ体表への殺ダニ剤の直接の塗布がその駆除のための補助的な方法として有用であることを確認するために実施した。マダニの自然感染を受けている犬60頭を供し、このうち30頭に寄生していたマダニ計128個体に対してはフィプロニルのスポットオン式滴下投与用液剤を1個体あたり製剤として5 µL(有効成分として500 µg)の用量で、他の30頭に寄生していた104個体に対しては同薬剤の適量を綿棒に浸潤させて、それぞれ背面に直接的に塗布した。その結果、各々の方法で94%と96%のマダニが3時間以内に、他のマダニも6時間以内に駆除された。また、有害事象はいずれの犬にも観察されなかった。以上のことから、マダニ背面へのフィプロニルの滴下投与用液剤の直接の塗布は、マダニの駆除に際しての補助的な方法であると結論した。