大阪府北部地震発災後の薬局施設の被災状況解析と対応策
キーワード:
大阪府北部地震, 薬局, 被災状況, アンケート調査
要旨
院外処方箋の発行率が70%を超える中,災害時の医薬品備蓄・供給拠点としての薬局の役割は大きい。そこで,2018年6月の大阪府北部地震発災後の薬局の被災状況に関する自由記述を含むアンケート調査を行い,得られた結果を解析・検討することで,今後起こりうる大地震を含む自然災害に対応すべき薬局の対策を考察することとした。茨木市薬剤師会会員薬局を対象に,地震による被害状況ならびに被災後の対応策を中心にオンラインによるアンケート調査を実施した。その結果,被害として壁面のひび,窓ガラスの破砕,水道管の破損による漏水のほか棚などの転倒・移動が最多であった。医薬品では,水剤や散剤の落下および破損,漏水に起因する停電に伴う冷所保存医薬品の廃棄も挙がった。このほか,薬局スタッフの参集の支障に伴う施設の復旧や患者対応に苦慮したこと等,多岐にわたる被害が確認できた。また,テキストマイニングによる共起ネットワーク解析結果から,特に薬局内の棚や医薬品棚の固定化ならびに緊急連絡を行う際の手段や連絡手順,情報の管理方法などについての検討の重要性が示唆された。