大学院助産師教育における継続事例実習の学びの様相
フォーカスグループインタビューデータの分析
キーワード:
継続事例実習, アイデンティティ形成, 大学院教育, 助産師学生
要旨
大学院での継続事例実習における学びの様相を明らかにし、助産師教育への一助とすることを目的に、大学院助産師学生8名を対象にフォーカスグループインタビューを行い、KJ法で質的分析を行った。その結果、大学院における助産師学生の学びの様相は3段階、6カテゴリーと19コードから構成されていた。カテゴリーは、【受け持ちを開始してからの使命感】【期待通りにいかない助産診断の甘さ】【対象の期待を絶対裏切りたくないという信念をもつ】【継続事例と共にベストを尽くす】【対象の変化が継続支援の力になる】【継続事例以外にも応用したい産婦支援の視点】で構成されていた。
助産師学生は継続事例実習を通して、助産師としての基本的な継続ケアの能力とアイデンティティを獲得できていた。大学院教育では、実習時間を確保できることから、育児期への継続支援が期待できる。しかし、本研究では、学生は継続事例と妊娠期からの関係性が構築できていたが、育児期での関わりは乳児健診中心であるため、支援の機会が限られていた。今後は、継続事例との関係性構築を基盤に育児支援の機会を増やすことがカリキュラム上の課題となる。