10年以上看護教育に携わる看護系大学教員のキャリア形成に影響を及ぼす要因
要旨
背景:日本では看護系大学が急増し、教員数は横ばいであるため、看護系大学教員が不足している。現在、助手、助教などの困難感に関する報告は多いが、経験年数が10年以上で職位が高い大学教員に関する報告は少ない。 目的:10年以上看護教育に携わる看護系大学教員のキャリア形成に影響を及ぼす要因を明らかにすることが目的である。 方法:対象者は10名の大学教員で教授、准教授である。半構造化面接を行い、分析方法は修正版グランデッドセオリーアプローチを用いた。 結果:10年以上看護教育に携わる看護系大学教員がこれまでを振り返った結果、キャリア形成に影響を及ぼす要因は【対人的な仕事への関心】【看護系大学教員であるための必要条件】【様々な困難もすべてが試練】【自分流のストレスコーピング】【組織へのコミットメント】【学生のためというやりがい】【大学教育の達人目指して自己研鑽】の7カテゴリーと25概念で構成された。 対人的な仕事への関心から始まり、学位取得が基盤となり、教育や研究における研鑽を積んでいた。若手教員の誰もが経験する困難な状況も乗り越え、ストレスコーピングができ、看護教育者としてのキャリアを中断することはなかった。「学生のため」というやりがいもキャリア形成に大きく影響し、士気を高めていた。組織との関係性において、帰属感から研究を通して社会貢献を行い、後輩育成と共に自己研鑽を継続させることとなる。