思春期の子どもの概日リズム睡眠・覚醒障害の体験と認識
要旨
本研究は今まで語られることがなかった思春期の子ども達の概日リズム睡眠・覚醒障害の体験とその認識を、子ども本人の語りから明らかにした質的記述的研究である。データの収集方法は、フィールドワークと非構造化インタビューを行う現象学的アプローチを用いた。 結果、フィールドワークを合計35回、インタビューを4名に実施した。13歳~19歳の9名が研究に参加し、①「寝れます?みんなは大丈夫なのにな」②「小学生のとき、寝て起きてできてたじゃん」③「全然教えてくれない。基本、何も教えてくれない」④「頭が寝たいなっていうときでも体がお昼」⑤「みんな朝起きるのがしんどいんだ、お前が起きてこないだけだ」という5つ特徴的な体験が語られた。 データの分析から、思春期の概日リズム睡眠・覚醒障害の子どもは「1.自分が概日リズム睡眠・覚醒障害だと認められない」と障害を受容できないこと、「2.家族から障害なのか疑われ孤立してしまう」という認識をもっており、2点の治療上の課題が明らかになった。これらの結果からケアの示唆として、障害に体質として付き合う方法を情報提供し、治療の主体性を子どもが失わないよう関わること。また、子どもが家族から障害なのか疑われ孤立している気持ちを和らげ、必要に応じて家族関係の調整を行う必要があることが示唆された。