看護基礎教育における多職種連携教育の現状と課題
要旨
本研究の目的は、日本の看護系大学における多職種連携教育の現状と課題を明らかにすることである。
全国の看護基礎教育を行う大学(国立・公立・私立を含めた)277校の、看護学科のIPE担当者もしくは、カリキュラム運営に携わる人を対象とし、郵送法による質問紙調査を行った。学生の卒業時のIPEに関する学習目標の到達度について、独自に作成した31項目の各項目に5段階のリカートスケールを用い、看護基礎教育におけるIPEにおいて学生に優先的に学ばせたい多職種連携の場面とその選択理由について調査を行った。調査票の回収は39件(14.1%)であった。
日本の看護基礎教育における多職種連携教育の現状として、大学の31件(79.5%)はIPEを実践しており、他学部と共に実践している大学は、53.8%であった。IPEを単科で実践している大学よりも、複数の学科で実践している大学の方が、IPE学習目標の卒業時到達度が高い傾向があった。
日本の看護系大学におけるIPEの課題として、IPE学習目標の到達度について、各職種の役割や活動内容に関する学生の理解の程度が、職種によってばらつきがあることが示唆された。特に理解度の低かった職種は、歯科医師・臨床心理士・臨床工学士であった。多職種連携教育として、学生のイメージ化の優先度が高い場面は、退院支援カンファレンスの場面であった。