在宅介護者が受ける介護ストレスの要因分析
要旨
医療の現場は病院から家庭へと移行しており、自宅での療養や看取りを希望している患者が多く在宅介護の必要性が高まると予想される。介護者はストレスを受けやすく身体的・精神的な健康状態を如何に保持するかが重要な問題となる。本研究はストレスを客観的に測定して、介護者個人属性、療養者の病態、社会的支援環境などとの関連を分析した。目的は、介護者の持つストレスは介護にどのような影響を与えているかを調査・分析し、今後の在宅介護に必要とされる支援の基礎資料とすることである。埼玉県内の訪問看護ステーションを利用している15名からアンケートにより在宅介護の現状と全国老人保健施設協会が作成したストレスチェツクシートによりストレスデータを収集し、統計的手法によりストレスと介護者個人属性、意識などとの関係を分析した。その結果、療養者が認知症で低年齢の介護者はストレスを多く受けていた。「療養者の希望がかなって自宅で自分らしく過している、自分(介護者)の時間が使いやすくなった」と感じている介護者はストレスがなく、身体的・精神的負担があると感じている介護者はストレスを多く受けていた。経済的な負担感がある介護者は、ストレスがあるが「介護の継続、自分らしく過ごせる」との意識を保持していた。ストレスは在宅介護に環境によって多少の差があるが少なからず影響していることが示唆された。今後の在宅介護に必要とされる事として、行政の経済的サポート、訪問看護ステーションによる疾患(特に認知症)のフォロー、精神的・身体的負担感への対応などストレスを軽減するための支援が求められる。