介護の種類の違いによる家族介護者が求めるインフォーマルな支援の特性
認知症介護と身体介護の比較から
要旨
本研究は、在宅において認知症介護または身体介護をしている家族介護者におけるインフォーマルな支援の必要性を概観し、介護の種類の違いによる家族介護者が求めるインフォーマルな支援の特性を検討することを目的とした。
対象者は、北日本の農村地域であるA町の全世帯を対象として実施されたアンケート調査結果より抽出した、認知症をもつ者の介護者(認知症介護)23名と身体障がいをもつ者の介護者(身体介護)27名の計50名とした。調査内容は、介護負担度、介護協力者の状況、地域住民との助け合いの状況、地域住民に求める支援であった。
介護負担度は全体的に軽度であったが、認知症介護が身体介護よりも有意に高かった。介護協力者は両介護とも家族による協力が多く、地域住民による支援は少なかった。両介護者とも約9割が地域住民とのつながりや助け合いは必要であるが、約8割が手伝ってほしいことはないと回答した。また、地域住民に求める具体的な支援内容は、認知症介護では「見守り」と「被介護者の話し相手」、身体介護では「車での送迎」であった。
介護者は地域住民からのインフォーマルな支援に対する遠慮や羞恥心があることが推測された。本研究で明らかになった認知症介護と身体介護それぞれの介護者が求める具体的な支援内容について、地域住民側から介護者に対して積極的に発信してく仕組み作りが必要である。