バイオスキンプレートを用いた医療用テープの剥離試験
-剥離角度に着目した検討-
要旨
医療用テープによる医療関連機器圧迫創傷の発生件数のうち、テープによる皮膚剥離が発現した事象は10%程度とされており、その発生原因としてテープを慎重に剥がさなかったなどテープ剥離を適切におこなわなかったことが一因に挙げられている。これらのことから、医療用テープがヒトの皮膚に及ぼす影響や適切な使用方法に関して明らかにする必要が示唆される。本研究ではヒト皮膚を模倣したバイオスキンプレートを被着体とし、推奨される使用用途が異なる複数種の医療用テープを用いたピール粘着力試験を行なうことで、種別ごとの適切な剥離角度を明らかにし、臨床で汎用される医療用テープの使用方法に有用な示唆を得ることを目的とした。本試験の結果、一部の試料では120°と150°と180°の剥離角度が最も剥離力が小さく、剥離角度90°はいずれの試料でも剥離力が大きかった。これは先行研究を一部、追認するものであるが、テープの種類により剥離力が最低値を示す剥離角度は一様でない。また、本試験は各剥離角度条件による医療用テープの剥離力を検証したデザインであり、複雑な臨床手技を考慮したものではない。今後は、剥離力に影響する要因を加えたピール粘着力試験を行い、更に臨床的に有用な検証結果を示す必要がある。