高齢者の延命治療に対する意思表示の実態

  • 北原 崇靖 九州看護福祉大学
  • 山本 恵子
キーワード: 延命治療, 意思表示, 高齢者, 事前指示書, 意思能力

要旨

 本研究では、B市で高齢者サロンに参加する認知機能・意思能力が保持されている65才以上の人を対象に郵送法による無記名自記式質問紙調査を行った。160サロンのうち175名から有効回答が得られた。延命治療の意思が「有り」56名(32.0%)、「無し」114名(65.1%)であった。延命治療の意思があり、それを他者に意思表示している人は37名(21.1%)、意思があっても他者に意思表示していない人が17名(9.3%)であった。事前指示書の要否に関しては、要98名(56.0%)、不要65名(32.0%)であり、要否の理由はいずれも家族への配慮を尊重しての回答が多かった。しかし実施に事前指示書を準備していたのは9名(5.1%)とごくわずかであった。

 延命治療の意思があり、意思表示している高齢者も事前指示書の準備はしていない実態から、認知機能・意思能力が低下する前に家族や後見人、医療従事者など最期の選択に携わる関係者に、書面による意思表示をする事前指示書の活用を啓発していく必要があると考える。それらを行うことで自身の望む最期を迎えられる準備が可能であるとことが示唆された。

出版済
2022-02-03
セクション
原著論文