介護予防教室に参加した高齢者の移動機能を規定する要因の検討

  • 平野 恵健 日本医療科学大学
キーワード: 高齢者、移動能力、幼児運動イメージテスト、重回帰分析

要旨

本研究は、介護予防教室に参加した対象者の移動機能を規定する要因について明らかにすることを目的とした。対象は、65歳以上で介護予防教室に参加した36名を対象とした。評価項目は、参加時の年齢、N式幼児運動イメージテスト(N式テスト)、片脚立位テスト、30秒椅子立ち上がりテスト(CS30)、Timed Up & Go test(TUG)の5項目とした。次に、TUGを従属変数、その他の評価項目を独立変数として、強制投入法による重回帰分析を行いTUGとの関係性を検討した。さらに、ステップワイズ法による重回帰分析を行った。その結果、TUGに関係する因子としてN式テストの標準化係数が最も高かった。さらに、ステップワイズ法による重回帰分析では、N式テストとCS30が選択された。得られた重回帰式は、TUG(秒)=-0.560×(N式テスト)-0.214×(CS30)+23.689であった。重相関係数(R)は0.81、決定係数(R2)は0.655、調整済み決定係数(R2) は0.635であった。以上から、介護予防教室に参加する高齢者の移動能力はN式テストと関係性が最も強く、さらに、N式テストとCS30の2つの評価項目を用いて介護予防教室に参加した高齢者の移動能力を予測できることが示唆された。

 

著者略歴

平野 恵健, 日本医療科学大学

職位:准教授  

学位:博士(理学療法学)首都大学東京大学院 人間健康科学研究科

資格:理学療法士 ・ドイツ徒手医学認定セラピスト ・3学会合同呼吸療法認定士

専門分野:整形外科学、義肢装具学

研究テーマ: 理学療法学における臨床研究

 

業績:

  1. Yoshitake Hirano, et al: Development of a prognostic scale for severely hemiplegic stroke patients in a rehabilitation hospital. Clin Neurol Neurosurg. 2017;158(7):108-113.
  2.  Yoshitake Hirano, et al: Prediction of Independent Walking Ability for Severely Hemiplegic Stroke Patients at Discharge from a Rehabilitation Hospital. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2016 ;25(8):1878-1881.
  3.  Yoshitake Hirano, et al:Prognosis and classification of severely hemiplegic stroke patients in a rehabilitation hospital. J Phys Med Rehabil 2017, 5: 397(DOI 10.4172/2329-9096.1000397). 
  4. Yoshitake Hirano, et al: The effect of voluntary training with family participation on early home discharge in patients with severe stroke at a convalescent rehabilitation ward. Eur Neurol. 2012;68(4):221-228.

 

他37編、Proceedings 4編、学会発表(国内・国外)117本

 

競合研究費の採択

公益財団法人 ひと・健康・未来研究財団 医学研究助成金(2015)

公益財団法人 大同生命厚生事業団 地域保健福祉研究助成金(2011)

 

受賞:第59回日本循環代謝学会学術集会 優秀ポスター賞(2016)

 

出版済
2021-08-06
セクション
原著論文