看護学生の看護診断を行うための知識と思考力の現状と課題
要旨
【目的】看護診断の基本的知識と看護診断能力の現状を明らかにし、看護診断で強化すべき思考力を検討することである。
【方法】看護基礎教育において基礎看護学の看護過程 / 看護診断の履修後である看護系大学二年生123名を対象とした。基本的知識と看護診断能力(診断指標判断能力、関連因子 / 危険因子判断能力、診断名決定能力)を客観的に問うテスト形式とし、看護診断能力の測定が可能な事例を作成し、質問紙調査を行った。
【結果】基本的知識の正解率は49%、看護診断能力を示す3つの能力である診断指標判断能力の正解率は40%、関連因子 / 危険因子判断能力の正解率は12%、診断名決定能力の正解率は14%であった。
【考察】看護診断用語、構成要素、構成要素の意味、看護診断を用いる
際のルールに関する知識不足が確認され、これらの知識が曖昧なまま看
護診断を行っていたことが示唆された。看護診断を行う際の思考プロセスにおいて、情報収集の段階で多角的に広く情報を収集し、情報から可能性をできるだけ多く挙げ、考えを広げていく拡散的思考と、次にこれらの多くの可能性から論理的に考えて1つの看護診断を導き出すという収束的思考を用いていると推測された。両思考を強化することで看護診断能力の育成を行えることが示唆された。