端座位での覚醒低下に伴う矢状面姿勢の変化に関する検討

  • 宮田 久美子 北海道科学大学
  • 林 裕子
キーワード: 座位姿勢, 意識障害, 覚醒, 2次元動作分析, 実験的研究

要旨

背景:意識障害患者の脳波は脳活動が低下した状態を示し、それは健康な成人の睡眠の状態に類似している.さらに意識障害患者の覚醒状態と意識の内容は必ずしも一致しない.また、意識障害患者が体幹の支持がなく座ることは、覚醒および他のいくつかの生理学的な要素を改善する可能性があるため、自立した生活行動の再学習に関連する新たな看護の介入の基盤を提供し得る. 目的:本研究は、健康な成人における覚醒状態と体幹の支持がない座位の姿勢の関係を検討し、覚醒状態を示す姿勢の変化を明らかにする. 方法:30人の健康な成人を研究対象者とし、バックレストがないベンチに座りながら眠ったときと目覚めているときの、矢状面姿勢について二次元動作分析を行った.矢状面姿勢のデータは、上半身6点にマーカーを貼付し2点を結ぶ直線と空間垂直軸となす角度を算出した.覚醒状態は、生体信号収録装置による前頭葉活動を収集し確認した.分析は、記述統計およびWilcoxon符号順位検定、Kruskal–Wallis and Steel–Dwass 検定を行った. 結果:座位で覚醒が低下すると、矢状面から見た姿勢は前傾し、特徴的に頭頸部が下垂した. 結論:意識障害患者における座位の矢状面姿勢において、頭部と頸部の角度がノンバーバルな覚醒の指標として有用であることが示唆された.

著者略歴

林 裕子

北海道科学大学保健医療学部看護学科 教授

出版済
2021-08-16
セクション
原著論文