地方自治体における自殺未遂者支援事業の役割

二次データ分析を用いた検討

  • 氏原 将奈 淑徳大学看護栄養学部
キーワード: 地方自治体, 自殺未遂者支援, 行政保健師

要旨

 地方自治体が把握した自殺未遂者の属性や保健師の対応について既存の資料を分析し、自治体における自殺未遂者支援事業の役割について検討することを目的とした。その結果、以下の知見が得られた。自治体は、自殺既遂に至りやすい属性である男性、中年層、無職といった自殺未遂者を多く把握し、対応する役割があることが示唆された。自殺未遂者は平均3個の背景要因を抱えており、一般精神保健相談と異なって地域住民や本人等の直接的な経路でなく、関係機関からの把握が多かった。行政保健師は、単一機関では対応が困難な、複数の背景要因を抱えた自殺未遂者について、自殺の再企図を予防するため、背景要因に応じた専門機関につなぐ自殺未遂者対応を行っていた。そのため、自治体は従来では連携していなかった弁護士や国保年金関係課、ハローワークといった法律・経済・就労部門の専門機関と連携し、対応する役割があることが示唆された。

出版済
2022-02-03
セクション
報告論文