精神障害をもつ人が行うピアサポート活動前後の心理的変容
キーワード:
精神障害, ピアサポート, 心理的変容
要旨
本研究の目的は、精神障害をもつ人がピアサポート活動をする前後で生じた自身の心理的変容について明らかにすることを目的とした。地域活動支援センターでピアサポート活動を行うピアサポーター2名にインタビュー調査を実施し、作成した逐語録を質的帰納的に分析した結果、【人との繋がりが乏しく、病気にとらわれていた】【病気に対する考え方や心境に前向きな変容がある】【役割を持つことや頼られることにより自己効力感が上がる】【対象者もピアサポーターも無理をせず自分自身を大切にする】【人との繋がりや心の居場所を感じる場がリカバリーに繋がる】【生活の中にピアサポートが溶け込む】【ピアサポート活動によって負担や困難感が生じる】の7カテゴリー、23サブカテゴリーが抽出された。ピアサポート活動を始める前は人との繋がりが乏しく、病気にとらわれていたが、ピアサポートの場がリカバリーに繋がり、そして生活の一部になっているということが見出された。しかし、活動による心理的な負担や困難感も生じているということから、ピアサポート制度の課題を見直すとともに、更なるピアサポート制度普及に向けたあり方を考えていく必要がある。