コーディングによる質的解析および量的解析を用いた学生の成長実感・満足度の可視化と授業改善への展開
薬学部5年次PBLチュートリアルによる症例解析・処方解析
キーワード:
学修成果, PDCAサイクル, 質的研究, コーディング, CS分析
要旨
本学薬学部5年生は,実務実習と連続してPBLチュートリアルによる症例解析と処方解析を行っている.本研究では,学生の成長実感・満足度を可視化するために,PBL実施後の学生アンケートの量的解析,コーディングによる質的解析を行った.特に質的解析では,解析ソフトのツールを利用した意見の抽出やクラスター化をせずに,すべてのコメントについて時間をかけてしっかりと読み込みながら手動でコーディングを行った.設問への回答から,学生は様々なパフォーマンスを発揮し,能力向上の実感を得たことが明らかとなった.自由記載コメントからは,学生は実務実習の経験を活かしてグループダイナミクスを発揮した議論を行い,「臨床に有用な知識」や「患者主体の医療を考えるプロセス自体の学び」を得たことが読み取れた.さらに,授業改善の方向性を見出すために顧客満足度分析を行い,「将来の薬剤師としての実力アップに役立つ実感」の向上を図ることが,授業の満足度向上につながることを明らかにした.量的・質的解析により,授業レベルのPDCAサイクルを効果的に機能させる重要な情報を得ることができた.