大学生を対象とした食生活相談室に関する一考察

  • 矢澤 彩香 大阪府立大学
キーワード: 大学生, 食生活, 食生活相談室

要旨

将来にわたり健康を維持していくためには,正しい知識に基づいた食生活を送る能力を身につけておくことが重要である.しかし,大学生世代においては食生活の乱れに関する調査報告が多く,食育の重要性が指摘されている.本研究では,大学内に設置した食生活相談室を訪れた,大学生の食生活状況および身体組成の調査を行うとともに食生活相談室のあり方について検討した.その結果,対象学生の食生活は先行研究と同様に良いとは言えない状況の者の割合が高かった.特に,自宅外生や男子学生では,改善すべき点が多い傾向が見られ,食育を行う上ではこれらの学生は留意すべきであると考えられた.食生活相談室への来室動機は,面白そうだったから,少し興味がわいてという者が多く,気軽に立ち寄れる場として,食生活相談室は有効活用できる可能性が示唆された.これらの来室動機の内容に加え,約8割の学生が食生活を改善したいと回答したことから,食生活に何らかの関心がある学生が来室したものと推察した.したがって,食生活に全く関心がない学生に対するアプローチの方法については今後の検討課題である.また,より有用性の高い食生活相談室を目指すのであれば,運営方法や活用方法についてもさまざまな観点から検討していく必要がある.

出版済
2021-04-21
セクション
報告論文