産後1年未満の父親の抑うつの実態とその要因

  • デッカー 清美 九州看護福祉大学
  • 神原 祐美
  • 丸山 昭子
  • 大澤 優子
  • 田中 瞳
キーワード: 父親, EPSD, 育児, 抑うつ, 産後うつ

要旨

 本研究の目的は、産後1年未満の父親の産後の抑うつの実態とその要因について明らかにすることである。そこで、関西近郊で開催された「プレママ・プレパパのためのマタニティ教室」に参加された父親を対象に無記名自記式質問紙を配布し、母親の出産後早期から遅くても1年未満に質問紙を郵送してもらうように依頼した。調査内容は、基本属性、育児時間、残業時間や日数とし、産後の抑うつを測定する尺度にはEPSDを用いた。質問紙の配布は500名で、回収数は199名(39.8%)、有効回答数は181名であった。EPSD 9点未満「正常群」、EPSDの基準点は9点以上で産後の「抑うつ状態」として統計学的な検討をおこなうと共に質問に対する回答の割合をもとに、父親に内在する要因の把握とその傾向について検討した。

 結果、質問に対する有効回答数181名のうち基準点以上であった父親は30名(16.6%)であった。産後の早期から1年未満で30名中、産後1ヵ月は14名(46.7%)、産後1~3ヵ月は4名(13.3%)、産後3~6ヵ月は2名(6.7%)、産後6~9ヵ月は10名(33.3%)、産後9~1年未満は0名(0%)であった。基本属性とEPSDの結果から、産後早期から9か月未満に父親が抑うつ状態になることが確認された。また、父親の学齢、職業、育児時間、労働時間や残業日数は父親の抑うつ状態の要因でないことが示唆された。

出版済
2021-01-20
セクション
原著論文