視覚ノイズが触2点閾に及ぼす効果についての報告
キーワード:
視触覚の干渉、 クロスモーダル、 触知覚、 触覚感受性、 閾下刺激
要旨
特定レベルの弱いノイズを付加する事により、 閾下の信号が検出可能となる現象は確率共鳴と呼ばれている。 本研究では、 触2点閾が5つの異なる強度のランダムドットを用いた視覚ノイズを提示することによって改善されるかどうかを調べた。 健康な3名の成人被験者において、 非利き手の第2指第3指腹部での触2点閾を測定したところ検出閾値近辺の強度のノイズはノイズ非提示のコントロールに比べ2点閾を有意に改善させた。 一方、 より強い、 またはより弱いノイズ強度では触2点閾の改善効果は認められず、 2点閾は視覚ノイズ強度に対しU-字曲線を描いた。 以上の結果は3名の平均値でも、 個別データでも同様に認められた。 また、 少数例にもかかわらず、 平均値には検出閾値近辺の強度のノイズ条件とコントロール条件間に統計的有意差が認められた。 これらの結果から、 クロスモーダルな確率共鳴によって視覚ノイズは触2点閾の改善を引き起こすことが示唆された。