予期せぬICU入室患者における入室前のバイタルサイン変化に関する研究

要旨

【目的】予期せぬICU入室患者の入室理由と入室24時間前までに出現した種々のバイタルサインの異常出現時間と内容を明らかにする。

【対象と方法】2014年5月までの48ヶ月間に当院ICUに予期せず入室した患者301名を対象とした。入室24時間以前に最初に生じたバイタルサインの異常の発現時間と内容を入室理由別に検討した。

【結果】ICU入室理由は呼吸不全が54.9%で、次いで循環不全が多かった。ICU入室理由別のバイタルサインの異常発症時間は中央値で約8〜13時間であったが、有意差はなかった。 入室理由別のバイタルサインの異常の出現率では、特徴的なバイタルサインの異常があったものの、いずれの入室理由においても万遍なくバイタルサインの異常の初出がみられた。

【結語】バイタルサインの異常出現から急変までの時間的余裕があり，バイタルサインの異常を急変と関連づける習慣や教育さらに医療システムの構築が予期せぬICU入室の予防には重要であると考えられた。