吸い飲みの微生物汚染状況に関する実験的予備調査
キーワード:
吸い飲み、微生物汚染状況調査、口腔内細菌と真菌、口腔衛生管理
要旨
入院患者や要介護者を対象に用いられている吸い飲み内の微生物汚染状況について実験的な予備調査を実施した。吸い飲み内試料はミネラルウォーター、緑茶、経口補水液、果汁飲料を用いて、pHと糖度を測定した。各飲料をブラッシング後に飲用した後、28℃で2時間および5時間保管後に吸い飲み内試料の微生物数(口腔内細菌数および真菌数)を計測した。さらに、緑茶を用いて食事中に飲用した後、吸い飲みの内試料の微生物数を計測し、ブラッシング後の試料微生物数と比較した。すべての飲料で、飲用後の吸い飲みに口腔内細菌(主にstreptococci)と口腔内真菌(主にCandida species)の混入が認められた(25 to 2827 cfu/mL)。ミネラルウォーター、緑茶では、口腔微生物数が保管2時間後で最も多くなった。また、食事中に飲用した吸い飲み内には口腔内微生物がより多く混入し、保管5時間後も微生物数の減少はみられなかった。口腔内の清掃・衛生管理状態は吸い飲みの微生物汚染状況に影響を与える。吸い飲みの十分な洗浄・消毒など、適切な衛生管理が重要である。