中国人留学生の主観的健康状態と生活習慣

  • 矢澤 彩香 大阪府立大学
  • 常 盟
  • Ayaka Yazawa 大阪府立大学
  • Meng Chang

要旨

日本を訪れる留学生の数は増加しており,中でも中国人留学生は最も多い。留学生は言語の壁や文化の違いから様々な問題を抱えることが多い。本研究では,大阪のある大学に所属する中国人留学生を対象に,生活習慣や日本語能力,主観的健康状態,身体組成,栄養摂取状況について調査を行った。その結果,対象者の44%は主観的健康状態が芳しくなく,主観的健康状態が低い者では身体活動の頻度が低い状況であった。また,朝食欠食習慣は対象者の41%でみられ,朝食欠食習慣の頻度が高いほど就寝時刻は遅かった。さらに,脂質エネルギー比率は中国人の食事摂取基準の値に比較して高かった。その一方で,女性では43%の者において,痩せがみられた。これらの状況は日本人大学生を対象とした研究においても散見される事項であり,中国人留学生も類似の状況であることが明らかとなった。これらのことから,中国人留学生に対する栄養教育の方向性は日本人大学生と同様で良い可能性が高いが,中国人留学生の場合は言葉の壁があることを踏まえた上での対策が必要になると考えられた。

出版済
2019-10-15
セクション
原著論文