湿度の異なる条件における医療施設で使用される資材や器材に付着したMRSA の生存性
キーワード:
MRSA、湿度条件、生存性、材質、療養環境
要旨
室内環境に近い20℃における綿布、ポリプロピレン布、シリコーンゴム片、銅片、真鍮片、銀片、アルミニウム片、ステンレス片に付着したmethicillin-sensitive Staphylococcus aureus〔 MSSA( ATCC29213)〕、及びmethicillin-resistant Staphylococcusaureus〔 MRSA(ATCC43300)〕、環境由来MRSA(L1)の湿度の異なる条件[高湿度:88.7%RH( 83.3-94.7%)、又は低湿度: 47.9%RH( 38.1-57.6%)]での 1、2、3、7、15、30 日後の生存性を比較した。その結果、銅片、真鍮ではいずれの菌株も湿度に関わらず1日も生存しなかった。銀片、アルミニウム片、ステンレス片においてはいずれも、「高湿度」より「低湿度」において生存期間の延長が見られた。抗菌効果があるとされる銀片は、相対湿度が低い季節においてS.aureus の長期の生存が考えられるため抗菌効果を過信すべきではなく、適正な感染予防策を講じるべきであると考える。