フクロモモンガの舌表面の走査型電子顕微鏡による観察
キーワード:
フクロモモンガ、舌、SEM
要旨
フクロモモンガ(Petaurus breviceps)の舌乳頭とその結合織芯を走査型電子顕微鏡で観察した。フクロモモンガの舌の先端はやや先の尖った三角形を呈し、舌体後方において厚みを増した。舌尖では舌体に比べ多くの茸状乳頭が観察され、舌体と舌根の境界にⅤ字形に3 つの有郭乳頭が見られた。前方2 つの有郭乳頭は後方の1 つの有郭乳頭に比べ非常に小型であった。舌根表面には舌体において見られた糸状乳頭は観察されなかった。走査型電子顕微鏡による観察では、舌尖の糸状乳頭は何本もの爪楊枝状の突起として見られ、それらの糸状乳頭間にドーム状の茸状乳頭が散在した。舌体前方では爪楊枝状の突起のほかに基部が円筒状で、その先端から突起が出た糸状乳頭が見られ、茸状乳頭の数も減少した。舌体の中央では先端から糸状突起を出す円錐形の糸状乳頭が、後方では左右からは糸状突起の糸状乳頭が、中央部分は太く先端が数本に分かれた糸状乳頭が見られた。舌体後部の左右外側面に発達の悪い葉状乳頭と考えられる2 本の縦の溝が存在した。舌体と舌根の境界にⅤ字形に3 つの有郭乳頭が見られ、その周囲は溝によって囲まれた。また、舌根表面には舌体において見られた糸状乳頭は観察されず、平滑な表面であった。