乳牛の妊娠末期におけるインスリン感受性試験の診断的意義と 周産期病の発生予知診断への応用
キーワード:
インスリン感受性試験、乳牛、周産期病の予知診断、インスリン刺激糖低 下率
要旨
臨床的に健康な妊娠末期乳牛(n=32) のインスリン感受性をインスリン刺激糖低下率(GDR 値、%)から調査し、GDR 値と分娩後の周産期病との関連について検討した。分娩予定日10 日前の周産期病発症牛群(n=6)のGDR 値は35.8 ± 7.4%で、非周産期病発症牛群(n=26)のGDR 値46.1 ± 8.1%より有意(P<0.05)に低値であった。GDR 値は、低下するに従って分娩後周産期病発症率が高値を示したが、乳牛の周産期病の発病との関連が高いとされている血漿生化学成分値では、周産期病が多発した牛群においても、明確な異常値を示さなかった。また、周産期病の発生予知を目的としたGDR のオッズ比は8 で、血中生化学成分の各オッズ比と比較し高い値を示した。以上の成績から、乳牛の妊娠末期におけるインスリン感受性試験は、分娩後の周産期病発生の予知や、周産期病と生産病のリスク評価に有用であることが示唆された。