組換えClostridium difficile Cytotoxin (toxin B) の発現とその細胞毒性発現に関する研究
要旨
Clostridium difficile( C. difficile)は偏性嫌気性有芽胞グラム陽性桿菌で、抗生物質が誘因となる下痢症あるいは腸炎の主要な原因菌である。C. difficile の病原因子は、toxinAおよびtoxin B があり、本菌を毒素産生性で分類すると両毒素を産生するtoxin A+B+ 株、toxin B のみ産生するtoxin A-B+ 株、「Binary toxin 産生株」、そして毒素非産生のtoxinA-B- 株とに分けられる。本研究では、有毒株に共通の産生毒素であるtoxin Bに着目した。まず、C. difficile の毒性発現機序を解明するため、大腸菌の系における遺伝子組換え技術を用いて、toxin B の毒性発現に重要とされるグルコシル転移酵素ドメインのW102およびD286-V-D288 を含むフラグメントの発現を行った。その発現ペプチドを8M Urea溶液にて可溶化し、Brij 35 を含む再生緩衝液にてリフォールディングをした。その後、フィルタ滅菌し、Vero 細胞に添加して、細胞円形化を調べた。この結果、リコンビナントタンパクを含む溶液でのみ、細胞の円形化が確認された。このことから、W102 およびD286-V-D288 を含む部位が毒性を示すことが確認できた。