脳卒中易発症高血圧自然発症ラットの生存期間に対する ベラプロストおよびシロスタゾール投与の影響

  • 松下 映夫
  • 田中 竜介
キーワード: 脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)、生存期間、ベラプロスト、シロスタゾール、腎保護作用

要旨

脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)の生存期間に対するベラプロストとシロスタゾール投与の影響を検討した。ベラプロスト投与群(200 μg/kg/日)では、有意なSHRSPの生存期間延長効果が確認された。シロスタゾール投与群(200 mg/kg/日)では有意差はないものの生存期間の短縮傾向が見られた。病理組織学的評価では、脳および心臓において明らかな差異は認められなかったが、腎臓では対照群に軽度から重度の糸球体硬化、尿細管変性、尿円柱、炎症性細胞浸潤および動脈炎等の病理スコアの増加が認められたのに対し、ベラプロスト投与群では統計的に有意な動脈炎スコアの減少と、さらに糸球体硬化スコアの減少傾向が認められた。一方、シロスタゾール投与群では、有意ではないもののすべての病理スコアで増加傾向が認められた。以上より、シロスタゾールとベラプロストでは、SHRSPの生存期間に対する影響に違いがあることが確認され、これらの薬剤の腎保護作用の差が関係していると推察された。

出版済
2018-10-13
セクション
原著論文