精神科デイケアにおける統合失調症患者の 不定愁訴及びストレスに及ぼすアロマテラピーの効果の検証

要旨

精神科デイケア利用者を含め地域で生活する統合失調症患者は、家庭及び社会環境の変化などのストレスがきっかけになり再発するケースも少なくない。そこで本研究は、デイケア通所中の統合失調症患者を対象に、ストレス軽減の対処法としてアロマテラピーによる介入を行い、その効果について検証を行った。その結果、不定愁訴では介入群、対照群ともに8項目のうち1項目のみで有意な改善を認めた。心理的ストレス反応では、介入群、対照群ともに介入前後で有意な変化を認めなかった。唾液中ストレス関連指標であるs-IgAの比較でみると、介入群においてのみ有意にs-IgA値が上昇した。今回の結果では、アロマテラピー介入による期待した心身の改善効果は得られなかった。一方で、介入群のみで客観的ストレス関連指標である唾液中s-IgA値が有意に上昇したことから、一定のストレス軽減効果が示唆された。今後は、中長期的なアロマテラピーの効果の検証が課題としてあげられる。