被ばく患者に対するリハビリテーションの現状と展望(第1報)

文献レビューによる検討

  • 小枝 周平
  • 成田 大一
  • 對馬 均

要旨

本研究の目的は、過去の被ばく事故例について、リハビリテーションの視点からの文献レビューを通して、被ばく患者に対するリハビリテーションの必要性と可能性について考究することである。文献検索の結果、被ばく事故に関する文献は、重複したものを含み和文で2269 編、欧文で62757 編確認された。これらの文献をリハビリテーションの視点から絞り込みを行った結果、被ばく患者へのリハビリテーションについて論述されていたものは3 編のみであり、いずれも全身に高線量の被ばくをした症例のケースレポートであった。これら3 編の報告から、被ばく患者では放射線熱傷(放射線皮膚障害)と呼吸機能低下に焦点を当てたリハビリテーションアプローチが、早期離床や全身状態の管理の面で重要な役割を担うことが考えられた。このようなリハビリテーションの効果のエビデンスを確認する意味から、病態モデルを考慮に入れた研究の展開が、今後課題と思われる。

出版済
2018-10-08
セクション
原著論文