ハシボソガラスの舌の走査型電子顕微鏡による観察

  • 江村 正一

要旨

ハシボソガラス (Corvus corone) の舌表面および上皮層剥離後の結合組織を走査型電子顕微鏡 (SEM) にて観察した。肉眼所見では舌は全体として先端が2 つに分離した矢じり状構造を呈し、舌尖、舌体および舌根の3 部位に分けられた。SEMによる観察では、舌尖の表面は平滑で多数の楕円形の上皮細胞が見られた。上皮層を剥離すると、多数の高さの異なる突起を有する板状隆起物が層状に観察された。舌体の後端部両側に大型の円錐乳頭が存在し、その内側にサメの歯のような形状の小型の円錐乳頭が観察された。舌根に多数の分泌腺の開口部が存在した。上皮層を剥離すると舌体の表面は多数の突起状の結合組織で覆われ、舌根に見られた分泌腺の開口部の周囲には隆起した網目状の結合組織が観察された。これらの所見はツグミ、シロハラやムクドリの舌の形態に類似する。

出版済
2018-10-08
セクション
原著論文